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2008年02月 アーカイブ

2008年02月20日

連続ケータイ小説 第一話

友人のサイトでライトノベルを公開していたので
それに便乗して、僕が書いたケータイ小説を公開してみる。

この小説は僕が修士論文執筆中に逃避として書いたもので、
正直、完成した修士論文よりもおもしろいと思われる。

ご意見ご感想などがあればコメント欄までどうぞ。
打倒「恋空」!

ちなみにいろんな作品からタイトルやら文章を引用したり、改変して使っています。
誰のどの作品かはとくに書きませんが、
なるべく引用した箇所は関連作品をリンクするようにしました。
盗作ではなくてインスパイアですよ。




ネタをネタとして楽しめる人でないとこの小説を楽しむのは難しいです




連続ケータイ小説

オーヴァーナイト・センセーション




第一話 夢・出会い・魔性


高校一年生にしてわたしの身長は173センチメートルもあるから、
わたしより背の低い男の子はたくさんいる。
背の低い男の子がわたしとつきあうと、街中で手をつないで歩くときに
彼らのプライドはズタズタのボロゾーキンのようになってしまうらしい。
だからわたしはわたしより背の高い男の子とつきあいたくて、
だからバレー部の黒田センパイが好きだ。182センチメートル。この人は山だ

ということを考えながら今日も体育館の正面の扉の前を通って帰宅する。
体育館の脇を通ると、
わたしの家とは反対方向の校門から出ないといけないからちょっとめんどい。
けれどもけれどもちょっとの手間は
体育館の扉の前を通るときのドキドキとトレードオフできるのだ。
これがわたしの日課。

今日も整列するバレー部員の中に黒田センパイを見つけて、
たまたま、たまたま通りがかっただけよみたいな顔をして
「よし」と心の中で言ってから家路に着く。

自転車に乗って、調子に乗って、そんなのって。


「何が好きなの黒田センパイって」
「何がって何が」
と言うのはバレー部員で坊主頭で自称160センチメートル(ほんとはおそらく156センチ。身長詐称ってお前は和泉元彌か)のワタナベ。
通称ナベは黒田センパイにかわいがってもらっているらしく、
二人で話しているところをたまに見かける。

わたしはナベと同じクラスということが幸せだ。
なぜならなぜならセンパイの色んな情報をナベから引き出せるから。
神様がくれたこの幸せは有効に使う。

「全体的によ全体的」
「ばか、曖昧でわからねえよ」
「・・・じゃあ、誰が好きなの?」
「ええ、いきなりストレートだなオマエは。まあ、俺のことはオマエよりは好きだと思う」
「ホモセクシャルかよ」
「そうだとしたらこれからの2年間はまさに『バラ』色の生活だな。ぎゃはは」
「・・・このファッキンアースホール」
とまあ、こんな感じで幸せを有効に使えているかどうかは疑問に感じる。
「わたしはどうしたらいいかわからない」
「じゃあ今度クロさんといっしょにいるときにお前来いよ」
「ええ」
「通りがかったら、声かけてセンパイに紹介してやるからさ」
わたしにはナベに後光が差して見えたのでした。


その日が来る。午後13時JUST。

廊下の先の方にセンパイとその他+1が見える。
結構遠くだけど、わたしのアンテナにぎゅんぎゅんきてる
あれあれ、こういうときってこんなに遠くからから二人の方を見てるべき?
それとももっと近づいて、なんだいたの?みたいな感じで気づく方が自然?
ああ、もう分かんない。
そんな感じでわたしが躊躇していると、ナベが大声で呼びかけてきた「カワシマッ!」
ええー。遠いよ。
今わたしがあんたどれぐらいのサイズに見えてるかわかる?まじで米粒。はは。
とは言え目の前にいたとしても親指みたいなもんだけどね。親指王子ってか。
ってそんな遠くから声かけられたら小走るか、悠然と歩いて近づくか、さらに悩んじゃうじゃん。
まじ余計な頭使わせないでよ。わたしは脳みそより身体に栄養が行っているんだからね。

「こんにちは」
「こ、こんにちは」
ちょー緊張。感覚だけが暴走してる感じ。
いろんなことパラレルに考えるんだけど、
そのどれもがタスクの途中でフリーズしちゃってる。
だって、目の前一メートルくらいの距離のところにセンパイが立っていて、
しかも「こんにちは」ってわたしに語りかけてきてくれてるんだもの。
そりゃあCore2Duoだって真っ青だ。
わたしの頭はファミコン並だから。ぴこぴこ。
でもファミコン並みのコンピュータを積んだ宇宙船だって宇宙へ行くことができるんだから、
わたしだってやるときゃやるんだからね。

「へえー君って背高いね」
「そ、そうですか?」
そうですか?って、いや、当たり前じゃん。わたしはデカイよ。
わたしもみんなもそんなことは知っている。センパイも知ってしまった。
「でも、俺よりは低いかな」と言ってセンパイは目の前に立って背比べ。
ああ。この5センチメートルは永遠。この香りは天然。
「ほらね」と言って顔面をしわくちゃにしてニカッと笑ったセンパイ。
その笑顔はまるで桜井和寿がライヴで見せる笑顔にウリフタツで、
ああ、この人はサクライさんが生まれ変わってここにいるのかもって思えた。
サクライさんはまだ死んでないけど。

あとは何をしゃべったかあんまり覚えてないや
なんか自己紹介して?当たり障りのない会話しちゃったりして?目が合っちゃったりして?メアド交換しちゃったりなんかして?そんなこんなでわたしのファーストコンタクトはミッションコンプリートしたのかな?

いちおうセンパイの頭とケータイの中にはインプットされたみたいで、わたしを見かけるたびに手を振ってくれるようになった。サクライさんの笑顔とともに。




第二話はこちら
第三話はこちら


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