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限定ThinkPad

そろそろマジメな話をしないと、
人格がゆがんでいると思われてもしょうがないブログになってきたので、
少しだけシリアスに。

山崎和彦という人がいる。
昔IBMのデザイン部門にいた人。
あれ、今もいるのかな?ちょっと聞きそびれた。
今は千葉工業大学で研究室を持っている。

「使いやすさのためのデザイン」という本を書いたうちの一人で、
この本はUCD(ユーザーセンタードデザイン,User-Centered Design)という概念をもとにして
製品を作る上でどんなアプローチやプロセス、手法が有効かを述べた本だ。
IBMでのUCDの実例を紹介していて、かなり参考になる。
現場からのボトムアップでデザイン手法を構築していく実践例としては
かなり説得力がある部類に入るのではないかなあ。

僕自身がデザインするときに「ユーザが欲しいのは云々・・・」と言う場合、
ほぼ「自分自身」を指すことが多いように感じる。
自分のためにモノを作っているわけではないので、
「ユーザ」を理性的に検討しなきゃなと思うきっかけになった本です。

タイトルの「使いやすさのためのデザイン」というのも
D=A=ノーマン(アップルのフェローだった、インタフェース界の重鎮)の
「誰のためのデザイン?」に対する返答ともとれるところがニクい。

さて、著者の山崎さんについて、
wikipediaのThinkPadの項目を見ると、

この伝統とは一線を画すデザインが採用されるまでには、IBM社内で幾分議論があったようである。最終的にこのデザインを決めたのはIBMのデザイン顧問であったリチャード・サッパーであり、その過程での実質的な中心人物は、神奈川県にあるIBM大和事業所にいた山崎和彦である。山崎は、松花堂弁当の弁当箱をコンセプトにしてThinkPadデザインを創造したようである。

となっている。
要はThinkPadフリークの僕にとっては神のような人なのだ。


今日はその山崎さんの講義があったので、
いろいろお話をすることができた。

一番聞いてて考えることが多かった話。

デザイン手法を現場に落とし込む際に、
スケジュールや時間の制約は大きいという話をした。

優れたデザインをする手法、アプローチがあったとしても、
短期的な結果を求められる「現場」では実践しようにもできない。

例えば、ある大きな自動車メーカでは、
2年先の日程がすべて決まっている。
一つのボルト工場に行って、打ち合わせをする日取り・時間が、
一年前から決まっている。
社員はスケジュールを消化していくことが仕事になっていく。

こういった状況の中では
むしろ、制作進行を遅らせることはタブーとされてしまう。という「現実」。

結果がなかなか見えてこないところに余力を割けなくなったところが
日本の大企業の現実なのだろうか。どうなんでしょう?
大企業と言っても、いろんな会社があると思うんですが・・・
大企業に勤めている方、意見をお聞かせください。

たとえばgoogleなんかでは
一見遊びとも思える中から新しいサービスのアイディアが出てきたりしている。
こういったこと許容されてるデカイ会社って日本だとなさそうだよなあ。
「はてな」みたいな例はあるけど、小さいし。

いろいろ考えることが多い一日でした。

ついでに無理なお願いをして、
僕の昔使ってたx31(もちろんレノボに売却される前のやつ)を
「山崎モデル」にしてもらった。
うへへ。
thinkpadx31.jpg


せっかくなので、興味を持たれた方は
「使いやすさのためのデザイン」を読んでみてください。
amazonで買えます。

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コメント (2)

kei:

グーグル壮大ー!三世代先の夢見れていいなあ

なかむら:

グーグルはパノプティコンを体現する会社でもあるから怖かったりもするよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8E%E3%83%97%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B3%E3%83%B3

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2008年01月17日 01:08に投稿されたエントリーのページです。

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